スポーツ力を向上したい方
こんな疑問にお答えします。
今回は、以下の内容を解説していきたいと思います。
- 棘下筋とは?
- 棘下筋を鍛えるメリット
- 棘下筋を鍛えるトレーニング種目
- 棘下筋を鍛える際のポイント
私は、渋谷のパーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」を2015年から運営しており、近年はパーソナルトレーナー養成スクール「Sharezスクール」の運営と講師も勤めています。
「棘下筋」は、肩や腕の動きを安定させるインナーマッスルですが、詳しく知らないという方も多いかも知れません。
今回は、棘下筋についてや鍛えるメリットなどの基礎知識とトレーニングメニューについて、詳しく紹介していきたいと思います。
目次
棘下筋とは?
棘下筋は、肩のインナーマッスルである「ローテーターカフ」の一つです。
ローテーターカフは、回旋筋腱板とも言われており、棘下筋の他に「棘上筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つの筋肉で構成されています。
これら4つの筋肉は、肩関節を安定させたり、肩周りのアウターマッスルの動きをサポートしたり、肩の動きにおいて非常に大切な役割を果たしています。
その中で、「棘下筋」は、肩甲骨の肩甲棘の下から上腕骨の上端外側についているため、収縮することで、上腕骨を肩甲骨方向に捻る動きに関与します。これを肩関節の外旋動作と言います。
また、上部が収縮することで、腕を外から上に持ち上げる動作(肩関節の外転)や、下部が収縮することで、腕を前から内側に持っていく動作(肩関節の内転)にも関与します。
棘下筋を鍛えるメリット
棘下筋を鍛えるメリットとしては、「姿勢改善に繋がる」ことと、「腕を後ろに振る(外側に回す)動きがスムーズになる」、「筋トレ時の肩へのダメージを軽減してくれる」ことの3点あります。
姿勢改善に繋がる
棘下筋を鍛えることで、巻き肩や猫背といった姿勢の悪化を防ぐことができたり、改善に繋がります。
巻き肩や猫背の方は、腕の位置が前にいきがちで、尚且つ、腕が内側に回ってしまいやすいです。
棘下筋を鍛えると、肩を後ろに持っていく働きがあるので、巻き肩、猫背の全く逆の動きに関与し、腕の位置が正常な位置に戻り、姿勢が改善しやすいのです。
腕を後ろに振る(外側に回す)動きがスムーズになる
腕を使うスポーツでは、棘下筋の固定力、収縮の強さ、伸張のスムーズさが求められますので、棘下筋を鍛えることで大いにスポーツのパフォーマンスアップ、ケガの防止、両面に貢献します。
野球、テニス、ハンドボール、卓球、水球、水泳、バドミントンなどのスポーツでは、「腕を後ろに振る、外側に回す、テイクバックの動作」を必ず使いますし、その動きが、腕のスイングスピード、球のスピード、パワー、正確性に影響します。
棘下筋が弱ってしまうと、腕を後ろに引く動作が弱くなってしまうので、テイクバックの動きが弱くなり、結果的に、腕を振る、ものを投げると言った動作のスピード、パワー、正確性が低下してしまいます。
筋トレ時の肩へのダメージを軽減してくれる
筋トレにおいてもメリットがあります。トレーニング中は、頻繁に棘下筋が作用します。
例えば、僧帽筋や広背筋を鍛える「シーテッドローイング」(特にアンダーグリップで握る場合)では、腕を後方から前方に動かすときに棘下筋が刺激されます。
棘下筋が低下していると、僧帽筋や広背筋を十分に追い込む前に、棘下筋の筋疲労が限界となり、メインの筋肉を追い込むことができません。
また、棘下筋が衰えたまま様々なトレーニングに励むと、棘下筋への負担が大きくなり損傷のリスクが高くなることもありますし、棘下筋が弱いことで、その働きをカバーするために、肩甲骨と上腕骨を繋ぐ細かい筋肉や、肩関節、肩周辺のアウターマッスル、にも過度な負荷がかかってしまう場合もありますので、ケガの防止という意味でも鍛えておくべきです。
棘下筋を鍛えるトレーニング種目
棘下筋は、上腕骨を肩甲骨方向に捻る動きに関与しているので、この動きに負荷をかければ、棘下筋にアプローチすることができます。
エクスターナルローテーション
エクスターナルローテーションは、肩をひねる動作を使ってダンベルをアップダウンするシンプルなトレーニングです。
腕の力を使ってしまうと、棘下筋のトレーニング効果が半減してしまうため、腕を90度に固定して行いましょう。
負荷は、ダンベル、もしくは自重で行います。
スタンディングエクスターナルローテーション
棘下筋と小円筋を集中的に鍛えることができるトレーニングです。
肘を固定して前腕部分だけを動かすことが重要なポイントです。
チューブ、もしくは自重で行います。
リバースグリップベントオーバーロウイング
通常ベントオーバーロウイングを逆手で行うことで、肩関節が外旋するので、棘下筋にもアプローチできます。
この種目は、広背筋、三角筋後部なども一緒に使うので、ある程度の重量をかけても大丈夫です。
負荷は、バーベル、もしくはダンベルで行います。
棘下筋を鍛える際のポイント
棘上筋を鍛える際のポイントは、「脇を締めて行うこと」と「重量設定と可動域を大きくし過ぎないこと」です。
脇が開いてしまうと、三角筋や広背筋、大円筋などが強く働いてしまいます。できるだけそれらの筋肉をリラックスさせ、棘下筋の動きにフォーカスするために、「脇を締めて行うこと」がポイントです。
「重量設定」に関しては、重量が重すぎてしまうと、固定する部分が動いてしまったり、アウターマッスルである「三角筋」などが強く働いてしまいます。一般の方でしたら何も持たなくても十分ですし、持っても1kg程度のダンベルや、チューブでしたら一番弱い負荷のもので十分です。
「可動域」に関しては、肩関節の外旋の可動域が50度ですので、それ以下の可動域で行いましょう。それ以上開いてしまうと、別の部位が関与してしまったり、肘の固定部分がズレてしまいます。
全身鏡で立ち姿を確認しながら、「肩が上がっていないか、持ち上げる位置は正確か」などを、チェックしながらトレーニングを実施してみてください。
まとめ
棘下筋のトレーニングは、運動のパフォーマンス能力を底上げしたり、筋トレによる肩へのダメージを軽減したりと様々なメリットがあります。
また、日常での腕や肩周りの動作をスムーズにしてくれることも嬉しいポイントです。
ぜひとも、棘下筋のトレーニングを日々の筋トレメニューにプラスして、丈夫な肩関節を手に入れましょう。
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