猫背が気になる方
こんな疑問にお答えします。
今回は、以下の内容を解説していきたいと思います。
- 猫背って解剖学的にどんな姿勢?
- 猫背の種類
- 猫背になる原因
- 猫背のデメリット
- 猫背を改善するための考え方
- 猫背改善のために鍛えるべき筋肉
- 猫背を改善するための筋トレ種目
私は、渋谷のパーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」を2015年から運営しており、近年はパーソナルトレーナー養成スクール「Sharezスクール」の運営と講師も勤めています。
デスクワークでPC作業が多く、姿勢がだんだんと猫背になってしまい、お悩みの方も多いと思います。猫背の状態が続いてしまうと身体に悪影響が出てしまいますので、本記事のトレーニングを取り入れて、早めに改善していきましょう。
今回は、猫背の原因やデメリット、猫背を改善するための筋トレ種目などについて解説していきます。
目次
猫背って解剖学的にどんな姿勢?
猫背は、解剖学的には、脊柱(背骨と呼ばれる部分)のラインが崩れた状態のことを指します。
一般的に猫背の姿勢として知られている、胸椎の後弯(背中のカーブ)が通常の範囲よりも大きく曲がった姿勢は、「円背」と呼ばれます。
その他にも、頸椎の前弯(正面側へのカーブ)が少なくなり、真っ直ぐに近い形になってしまっているケースもあるなど、猫背にはいくつかの種類があります。
※頸椎がまっすぐに近い形になっている状態を、ストレートネック(スマホ首)などと呼びます。
猫背の種類
上記の「円背」のように、猫背にも種類があります。
- 円背型
- 巻き肩型
- 顔出し型
- 首なし型
猫背かどうか気になっている方は、それぞれに当てはまらないかどうかをチェックしてみてください。
円背型
円背型の猫背は、胸や腰の部分の脊柱が過度に丸くなっており(後弯)、骨盤が後ろに傾いています(後傾)。
円背型の猫背になってしまうと、「ポッコリお腹に見える、腰痛になる、呼吸が浅くなる、血行が悪くなる」などのデメリットがあります。
- 浅く座り、腰掛けや背もたれに寄りかかる座り姿勢
- 長時間のデスクワークやスマホ使用など前かがみになる姿勢が多い
- 考え事や落ち込んだりしたときに背中をまるめがち
巻き肩型
巻き肩型の猫背は、肩甲骨が外側に広がり、肩が前方に出てしまっている状態です。
巻き肩型の猫背になると、肩甲骨周りや鎖骨周り、背中の筋肉(脊柱起立筋・広背筋)がガチガチに凝り固まってしまうと、慢性的な肩こりや腰痛に悩まされてしまったり、腕があがりにくくなります。
- スマートフォンやパソコンをつかうときに肩を前に出す
- 横向きで寝る
- 運動不足による上背部の筋力低下
顔出し型
顔出し型の猫背は、頭部が前方に突き出ているのが特徴です。
背中が円背型ほど丸まっていないので、猫背だという自覚症状を持ちにくいタイプです。頸椎が真っ直ぐになってしまっていることも多く、ストレートネックとも言われます。
みみたぶ(耳垂)と、肩の先(肩峰)、太ももの付け根のでっぱった部分(大転子)が、一直線になるのが体に負担の少ない理想的な姿勢です。頭部が前方にでると、頭を支えるために首や肩に負担がかかり、突っ張った状態になります。
スマートフォンをみる姿勢が原因になっていることが多いため、スマホ首とも言われています。
- スマートフォンを低い位置において覗き込むように見る
- デスクワークで首を前に伸ばしてモニターを見る
首なし型
首なし型の猫背は、円背、巻き肩、顔出しの3つが合わさり、慢性的な肩や首のコリで常に上半身に力が入ってしまい、肩がすくんで首が見えづらくなっている状態のことです。
猫背になる原因
ここで猫背になる原因を整理しておきましょう。
長時間のデスクワーク
キーボードやマウス操作が必要なデスクワークでは、肩が内側に入った前かがみの悪い姿勢になりやすいです。
この姿勢が日頃から続いていると、体の前面の筋肉が硬くなりやすく、背中の筋肉が伸びてしまいやすいので、脊柱や骨盤の歪みの原因になり、結果として猫背になってしまいます。
長時間のスマホ使用
多くの方が1日に数時間スマートフォンを使用しています。
長時間のスマホ使用は、長時間のデスクワークと同様に猫背になる原因として考えられています。画面が小さく、距離も近いので、より下を向いた状態になりやすいです。
この姿勢が習慣化すると、先ほどと同様の理由で猫背を引き起こす原因になります。
運動不足からくる筋力の低下
運動をせず日常生活を過ごしていると、体を支えるだけの筋力しか使わないので、その他の筋肉はどんどん落ちていきます。
脊柱は前方の可動域の方が広いため、体幹部分の筋力が低下してしまうと、前の方に倒れやすくなってしまい、背中が丸まっていきます。
猫背のデメリット
猫背の状態が続いてしまうと、以下のデメリットが生じてしまいます。
肩こりの原因になる
人間の頭部は約5キロの重さがあると言われおり、その頭部の位置が猫背によって前方化すると、首の筋肉が頭の重みを支えるために突っ張った状態になり、緊張します。
具体的には、僧帽筋の上部、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋などが疲労し、血流が悪くなり、肩こりに繋がってしまいます。
腰痛の原因になる
猫背になると、上背部が丸くなり、本来腰の上にバランスよく乗っている重心が前重心になります。前重心になった重さを支えるのは腰の筋肉です。
この状態が続くと、腰の筋肉(脊柱起立筋や広背筋の下部)が突っ張った状態になり、コリや痛み、だるさを感じるようになります。
顔や首回りの「むくみ」の原因になる
猫背による、頸部や肩関節周囲の筋肉の慢性的な緊張は、血液循環の不全を招いてしまいます。
その結果、停滞した血液中の水分の一部は、細胞間液として血管外に流出してしまい、むくみを生むことになります。
太りやすい体・痩せにくい体になる
猫背になると、体幹部の筋肉が働きづらくなり、お腹が出やすくなったり、筋バランスが崩れてしまいます。
筋バランスが崩れると、むくみや血液循環が悪くなり、脂肪燃焼効率も低下してしまいます。
自律神経の乱れにつながる
脊柱には神経が通っているので、猫背により脊柱のラインが崩れると神経にも影響が出ます。
猫背により、背部の筋肉が疲労したり、突っ張った状態になると、交感神経が優位になってしまいます。
交感神経が優位な状態では、身体も緩みづらく、ストレスにも過剰に反応してしまうことに繋がります。
肩関節の可動域が低下する
猫背になると、肩甲骨が外に開きやすくなってしまいます。
肩関節の構成部位である肩甲骨が本来あるべきポジションからズレてしまうと、肩甲骨の動きがスムーズでなくなり、結果として肩関節の可動域が低下してしまいます。
猫背を改善するための考え方
では、猫背を改善するにはどうしたら良いのでしょうか?
ここでは、猫背を改善するための考え方について説明していきます。
「正しい姿勢」を知る
壁に体をつけたとき、頭・肩・肩甲骨・お尻が同時に壁につき、更に壁と腰の間に手が入る程度の隙間がある。これが正常な姿勢です。
まずはこの「正しい姿勢」を把握しましょう。自分にとっての正しい姿勢が理解できなければ、「どう直したら良いか、どこが良くないか」を確認できません。
その他の確認方法としては、膝立ちをしてみるのもおすすめです。
人は足の裏で重心を確認し、バランスを取っているので、膝立ちになると、足の裏が使えなくなり、上体だけで安定させる力が必要になります。
その際には、正しい姿勢でないとバランスが取れないので正しい姿勢の確認になります。
ストレッチをする
猫背になっている場合、腕が前にいったり、背中が丸まっているので、大胸筋や三角筋などは硬くなりやすいです。
また、腰、背中、首の筋肉は常に上半身の重さを支えるために突っ張った状態になり、硬くなっています。
それらの筋肉をストレッチし、腕を後ろにいきやすくしたり、背面の筋肉を柔らかくし、血液循環を良くすることで、猫背の改善に繋げることができます。
筋トレをする
上記の「猫背の原因」の一つとして、「筋力の低下」がありました。
体幹部分の筋力が低下してしまうことで、上半身を支えきれず、背中が丸まってしまっていたので、筋トレをして収縮する力を高めることで、姿勢の改善に繋げることができます。
本記事では、猫背を改善するための筋トレ種目について詳しく解説していきます。
猫背改善のために鍛えるべき筋肉
猫背改善のために鍛えたい主な筋肉は、「広背筋、脊柱起立筋、僧帽筋、菱形筋、大臀筋、ハムストリングス、腸腰筋」です。
筋トレ種目を理解するためにも、それぞれについて把握しておきましょう。
広背筋
広背筋は、下は骨盤から脊柱、肩甲骨、上腕骨まで付着しており、背中に大きく広がる筋肉です。
脊柱の動き、姿勢に関係しており、筋力低下してしまうと、背中が丸まってしまうので、鍛えて、脊柱のラインをキープしたいです。
脊柱起立筋
脊柱起立筋は、後頭部から骨盤までの脊柱についている筋肉です。
見た目、名前からもわかるように姿勢に関係しています。ただし、働きとしては安定させる機能が大きいので、単独で鍛えるというよりは、他の部位を鍛える際に協働して働かせる形で使うのが良いです。
僧帽筋
僧帽筋は、後頭部から鎖骨、肩甲骨、脊柱についている筋肉です。
上背部の姿勢の安定や、首や頭の位置に関係しています。肩を動かしたり、肩甲骨を動かしたりすることで鍛えられます。
菱形筋
菱形筋は、肩甲骨と脊柱の間についている筋肉です。
肩甲骨を内側に寄せる働きがあり、筋力が低下すると、肩甲骨を寄せる力が低下してしまうため、肩甲骨が外側に開きやすくなってしまいます。
大臀筋
大臀筋は、骨盤から大腿骨にかけて付着している筋肉です。
大臀筋は骨盤についているので、大臀筋の筋力が低下すると骨盤を安定させづらくなり、骨盤が後傾する場合があります。
骨盤が後傾すると、脊柱は丸まりやすくなり、猫背に繋がってしまいます。
ハムストリングス
ハムストリングスは、骨盤から大腿骨にかけて付着している筋肉です。
大臀筋と同様に、ハムストリングスは骨盤についているので、ハムストリングスの筋力が低下すると骨盤を安定させづらくなり、骨盤が後傾する場合があります。
骨盤が後傾すると、脊柱は丸まりやすくなり、猫背に繋がってしまいます。
腸腰筋
腸腰筋は、腰椎、骨盤から大腿骨についている筋肉です。
腸腰筋は、収縮することで骨盤を前傾させる働きがあり、腸腰筋の筋力が低下してしまうと、骨盤が後傾しやすくなります。
骨盤が後傾すると、脊柱は丸まりやすくなり、猫背に繋がってしまいます。
猫背を改善するための筋トレ種目
それでは、猫背を改善のための筋トレ種目をを紹介していきます。
それぞれの種目は、以下の筋肉を鍛えることができます。
- ベントオーバーローイング:広背筋、僧帽筋、菱形筋など
- デッドリフト:大臀筋、ハムストリングス
- ニーレイズ:腸腰筋
- シーテッドローイング:広背筋、僧帽筋、菱形筋など
ベントオーバーローイング
ベントオーバーローイングでは、広背筋、僧帽筋、菱形筋、大円筋など、背中の筋肉の多くを鍛えることができる万能な種目なので、ぜひ取り入れたいです。
動作中に背中が丸まってしまわないように注意しましょう。背中が丸まってしまうと、背中の筋肉の収縮がうまく得られません。
また、肘を引くときに肩甲骨を寄せることで、僧帽筋や菱形筋をしっかり使うことができます。
デッドリフト
デッドリフトは高重量を扱えるトレーニングとしてオススメです。
背中の筋肉も使いつつ、大臀筋やハムストリングスを鍛える種目です。
膝が曲がり過ぎて、上半身が起きた姿勢になると、あまり大臀筋やハムストリングスを使うことができません。
股関節を屈曲し、上半身をしっかり倒しながら行いましょう。
ニーレイズ
ニーレイズは名前の通り、膝を持ち上げるエクササイズです。
腸腰筋は、大腿骨と骨盤、腰椎についているので、仰向けに寝て、膝を引きつける動作で鍛えることができます。
腰が反ってしまうと、腰椎が圧迫され、腰が痛む場合があります。その場合は、腰が反らない範囲内で膝を手前で止めるようにしましょう。
お腹に力を入れて、腰が反らないように押さえつける意識も重要です。目線もおへその方に持っていき、背中を丸める意識で行いましょう。
シーテッドローイング
シーテッドローイングは、シートに座った状態で腕を引き、広背筋、僧帽筋、菱形筋、大円筋を鍛えるトレーニング種目です。
また、腕を引いた時には体の後ろまで引くようにし、同時に肩甲骨をしっかり寄せるよう意識しましょう。
まとめ
長時間のデスクワークやスマホ操作、筋力の低下が原因で、前かがみの姿勢になってしまい、猫背になってしまう方も多いと思います。
「筋トレやストレッチ、日頃から正しい姿勢で居るように心掛ける」ということを組み合わせて、ぜひ猫背を改善していきましょう。
※ストレッチ方法に関しては、別記事にて紹介していきますので、今しばらくお待ちください。
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