筋肉の知識を深堀りしている方
こんな疑問にお答えします。
今回は、筋肉の基礎知識として、以下を解説していきたいと思います。
- 筋肉が増える仕組み
- 筋肉が動く仕組み
- 身体が動く仕組み
私は、渋谷のパーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」を2015年から運営しており、近年はパーソナルトレーナー養成スクール「Sharezスクール」の運営と講師も勤めています。
スクールでは、解剖学や生理学、バイオメカニクスなど、パーソナルトレーナーとして活動するための基礎知識の講義もあり、それらの講義の内容を整理して、今回のテーマについて解説していきたいと思います。
目次
筋肉が増える仕組み
まずは、「筋肉が増える仕組み」から解説していきます。
骨格筋は繊維の層になっており、骨格筋そのものが太くなる訳ではなく、層の内側に存在する筋繊維が太くなることに応じて、結果的に筋肉のサイズが大きくなります。
※筋繊維の束を、「筋束」と言います。
つまり、筋肉が増えるという事は、「筋繊維が太くなることで、筋束が太くなり」、「筋束が太くなることで、骨格筋が太くなる」という仕組みになっています。
筋力トレーニングをして負荷をかけ、適切な栄養摂取、休息をすることで、筋繊維が太くなり、筋肉が太くなっていきます。逆に、運動をせず、栄養摂取が不足すると、筋繊維は細くなり、筋肉全体も細くなっていきます。
筋繊維を太くするためのトレーニング
筋繊維は、負荷をかける事によりダメージを受け、そのダメージから回復する際に、以前より強く、太くなっていきます。
筋繊維に負荷をかけるには、強度の高いトレーニングが必要です。そして、回復を促進するために、筋肉の合成に必要な栄養摂取、休息が必要です。
強度の高いトレーニングとしては、2つのアプローチがあります。
- 重量的な負荷を掛けるアプローチ
- トレーニングの量、ボリュームを掛けるアプローチ
トレーニング時によく用いられる、「10回が限界の重さ(10RM)で、60〜90秒休みながら、10回を3セット行う」というトレーニング方法は、強度、ボリュームの両面から、筋肥大に効率が良い方法だと言えます。
ただ重いだけや、ただ時間が長いだけのトレーニングは、筋肥大の効率が悪くなってしまいます。
筋肥大を生み出す超回復
筋トレなどで筋肉に対して負荷をかけると、筋繊維はダメージを受けます。
この受けたダメージをから、筋繊維が回復する際に、以前の状態よりも強い状態で回復しさせようとする現象を「超回復」と呼びます。超回復の期間は、筋トレ後、48-72時間かかると言われています。
これは、身体に備わっている「恒常性」という機能が影響しています。「恒常性」とは、ヒトが生命活動を維持する為に、身体のコンディションを良い状態に保とうとする働きです。
この働きによって、ダメージを受けた筋肉は、またダメージを受けても、筋繊維のコンディションが悪化しないよう、負荷に耐え得る、以前より強い筋繊維を合成しようとするのです。
→ 超回復について詳しく知りたい方は「筋肉×回復」の記事へ
筋肉の超回復については、別記事に情報をまとめましたので、ぜひこちらも確認してみてください。
筋肉の超回復とは?【回復時間、効果を高める方法、筋肉痛との関係などを解説】
筋肉が動く仕組み
「筋肉はどのような仕組みで動いているのか?」について、解説していきます。
筋肉が動く仕組みを理解するために、まずは「筋肉の構造」を理解しておきましょう。
筋肉の構造
胸や腕の筋肉など、一般的に「筋肉」と認識されているものは「骨格筋」と呼ばれ、骨格筋は、「筋束」という束が何本も集まってできています。
この筋束は、「筋繊維」という筋肉の繊維が集まったもので、筋繊維は「筋原繊維」というより細い繊維が集まったものです。
そして、筋原繊維は、「アクチンとミオシンで構成されるサルコメア」という組織が集まっています。
鶏肉などを見ていただくと、筋肉は繊維の束であることがわかると思います。表面に見える繊維質の中にさらに細かい繊維の層が存在しています。
筋肉の構造については、別記事に情報をまとめましたので、ぜひこちらも確認してみてください。
筋肉の構造【3種類について理解しておこう(図解あり)】
筋収縮の仕組み
筋肉の構造のイメージを元に、「筋肉がどのように動いているか?(収縮しているか?)」について、解説していきます。
筋肉と脳は、神経で繋がっています。脳からの「筋肉を収縮させる」という指令が、神経を通じて筋肉に伝わります。
筋肉の収縮指令を筋肉が受けると、筋原繊維内のアクチンがミオシンに滑り込み、アクチンとミオシンが重なり合うようにして、サルコメアの長さが短くなり、その上に重なっている筋繊維の層の長さも短くなり、繊維の集合体である筋肉全体の収縮動作が起こる仕組みになっています。
また、「筋肉を伸ばす」という指令はなく、筋肉に対して収縮の指令を出すことで、対になっている筋肉が伸張する仕組みになっています。
筋肉の最小単位である、サルコメア(アクチン、ミオシン)が収縮の機能を持つ事により、細かい力の発揮から大きな力の発揮までをコントロールできるようになっています。
- 脳からの指令を受ける
- 運動神経が筋繊維に伝える
- 神経筋接合部にアセチルコリンを放出
- 筋細胞膜がアセチルコリンを感知し、Na+を放出
- 筋小胞体がNa+を感知し、Ca2+を放出
- 筋原繊維がCa2+を感知し、アクチン、ミオシンが近づき、収縮する
筋肉の収縮については、別記事に情報をまとめましたので、ぜひこちらも確認してみてください。
筋肉が収縮する仕組み【筋収縮の種類、筋肥大との関係も解説します】
身体が動く仕組み
最後に「身体が動く仕組み」について解説していきます。
ヒトの身体は、外に近い位置から内側に向かって、皮膚、脂肪、筋肉、骨の順に構成されています。
骨に筋肉が付着しており、「筋肉が縮んだり、伸びたりすることで、骨が動き、関節が動き、身体が動く」という仕組みになっています。
例えば、上腕二頭筋は、橈骨(前腕の骨)から、肩甲骨に付着しています。ですので、上腕二頭筋が収縮すると、肘を中心に肩と前腕が近づく「肘が曲がる」動きが起こります。
また、筋肉が縮むことで、対になっている筋肉が伸張し、関節が伸びる動作を行うことができます。さらに、伸び縮みによる、関節の屈曲、伸展だけでなく、筋肉が緊張を保つことで、関節を安定させる働きもあります。
まとめ
筋肉の増やし方や、身体の動く原理などの筋肉の仕組みを理解して、自身やお客様のトレーニング方法、メニューの構築にぜひ活かしてみてください。
トレーニングしているけど、なかなか成果が出ないという方は、原理原則を確認し、トレーニング内容を見直してみましょう。
今回のテーマの「筋肉の仕組み」や、その他の基礎的な知識に関して、ご質問や疑問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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