各筋肉を調べている方
こんな疑問にお答えします。
今回は、筋肉の基礎知識として、以下を解説していきたいと思います。
- 腕の筋肉の役割
- 腕の筋肉の名前と働き(画像つき)
- 腕の筋肉で、パーソナルトレーナーが頭に入れておくべきなこと
私は、渋谷のパーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」を2015年から運営しており、近年はパーソナルトレーナー養成スクール「Sharezスクール」の運営と講師も勤めています。
スクールでは、解剖学や生理学、バイオメカニクスなど、パーソナルトレーナーとして活動するための基礎知識の講義もあり、それらの講義の内容を整理して、今回のテーマについて解説していきたいと思います。
目次
腕の筋肉の役割
腕の筋肉の役割は、「体幹部からの力を伝えたり、手の重さを支えたり、手先の細かい動きを行うために安定させること」です。
※腕の筋肉は、肩関節から手首までの筋肉を指します。
腕は「上腕部と前腕部」の2つの部分に分ける事ができ、「上腕部は肘関節の動き」、「前腕部は手首、手の動き」をコントロールしているので、それぞれ役割が異なります。また、上腕部は大きな出力ができ、前腕部は小さな出力を行うことができます。
具体的には、上腕部は「肘を曲げる、伸ばす、固定する」といった動きに関与し、前腕部は「手首を曲げる、手首を固定する、指を握る、開く、固定する」といった動きに関与します。
腕の筋肉の名前と働き
腕の筋肉の「上腕部、前腕部」は、さらに以下の6種に分ける事ができます。
- 上腕二頭筋
- 上腕三頭筋
- 上腕筋
- 腕橈骨筋
- 手関節屈曲筋群
- 手関節伸展筋群
それぞれについて、詳しく解説していきます。
上腕二頭筋
上腕二頭筋は、「二頭」という名の通り、「上腕二頭筋長頭、上腕二頭筋短頭」の二つの筋肉で構成されています。それぞれ起始部が異なり、停止部は同じ位置です。
肩甲骨から、肘関節をまたいで橈骨にかけて付着しているので、収縮する事で肩と前腕部が近づき、「肘を曲げる動作、腕を前に持ち上げる動作(肘関節の屈曲)」に関与します。
いわゆる「力こぶ」と言われている筋肉です。
日常動作でいうと、頭をかく動作、手をふる動作、ランニング動作での、腕のスイングで使われています。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は、「三頭」という名の通り、「上腕三頭筋長頭、上腕三頭筋内側頭、上腕三頭筋外側頭」の三つの筋肉で構成されています。それぞれ起始部が異なり、停止部は同じ位置です。
肩甲骨から、肘関節をまたいで尺骨まで付着しているので、収縮する事で曲がっている肘が伸ばされ、「肘を伸ばす動き(肘関節の伸展)」に関与します。一部、腕を後ろに持っていく動作にも関与しています。
いわゆる「二の腕」、「振袖」と言われている筋肉です。
日常動作でいうと、うつ伏せの状態から体を起こす際に、手を床について体を持ち上げる動作などで使われています。
上腕筋
上腕筋は、上腕に付いている筋肉で、上腕二頭筋の裏側にある筋肉です。
上腕骨から尺骨までに付着しているので、収縮する事で前腕と上腕を近づけ、「肘を曲げる動作(肘関節の屈曲)の動作」に関与します。
その際には、上腕二頭筋とセットで働きます。
腕橈骨筋
腕橈骨筋は、前腕にある筋肉で、前腕の橈骨という骨に付いています。
上腕骨から橈骨にかけて付着しているので、収縮する事で上腕骨と橈骨を近づけ、「肘を曲げる動き(肘関節の屈曲)の動作」に関与します。
肘を曲げる動作では、上腕二頭筋、上腕筋とセットで機能しますが、前腕を内側に回す、外側に回す動作では、上腕二頭筋の一部とだけセットで機能します。
腕相撲などで重要な筋肉です。
手関節屈曲筋群(前腕屈筋群)
手関節屈曲筋群は、上腕骨から、肘関節をまたいで、中手骨、指のひらまで付着しているので、収縮する事で、「肘関節の動き、前腕の動き、手首の動きなど、多くの動き」に関与します。
※「前腕屈筋群」とも呼びます。
手関節屈曲筋群は、以下の筋肉群の総称です。
- 橈側手根屈筋
- 尺側手根屈筋
- 浅指屈筋
- 深指屈筋
- 長母指屈筋
- 長掌筋
- 円回内筋
- 方形回内筋
起始部が「上腕骨のもの」と「前腕のもの」とで分けることができ、上腕骨に付着するものを「浅層」の筋肉、前腕に付着するものを「深層」の筋肉と言います。
主に手首を前に曲げる動きに関与しますが、手首をぐるぐる回す動きでは、手関節伸展筋群と共同して使われます。
手関節伸展筋群(前腕伸筋群)
手関節伸展筋群は、上腕骨から、肘関節をまたいで、中手骨、指のひらまで付着しているので、収縮する事で、肘関節の動き、前腕の動き、手首の動きなど多くの動きに関与します。
※「前腕伸筋群」とも呼びます。
手関節伸展筋群は、以下の筋肉群の総称です。
- 総指伸筋
- 長橈側手根伸筋
- 短橈側手根伸筋
- 尺側手根伸筋
- 長母指伸筋
- 短母指伸筋
- 長母指外転筋
- 示指伸筋
- 回外筋
- 小指伸筋
また、筋肉がある部位によって、橈側群2筋(長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋)、浅層3筋(尺側手根伸筋、小指伸筋、総指伸筋)、深層5筋(回外筋、長母指外転筋、長母指伸筋、短母指伸筋、示指伸筋)の3つに分類されます。
手関節伸展筋群は、主に手首を反る動きに関与し、手首をぐるぐる回す動きでは、手関節屈曲筋群と共同して使われます。
腕の筋肉で、パーソナルトレーナーが頭に入れておくべきなこと
肩の筋肉で、トレーナーの方が頭に入れておきたいのは、以下の3つのチェックポイントです。
- 上腕部の太さ
- 前腕部の強さ
- 肘関節の過伸展
それぞれについて、詳しく解説していきます。
上腕部の太さ
まずは、上腕部の太さをチェックしましょう。
男性も女性も、二の腕は露出する機会が多く、目につきやすい部位なので重要です。
男性であれば、太い腕は男らしさの象徴と言えるので、上腕二頭筋、上腕三頭筋へのアプローチは必須です。女性は、二の腕や振袖と言われる「上腕三頭筋の引き締め」ニーズが高いです。
上腕三頭筋は、腕の重さによって伸展しているので、あまり上腕三頭筋自体の筋力を発揮する機会がありません。ですので、非常にたるみやすい部位と言えます。男性も女性も、上腕部は筋トレをしている人と、していない人で大きな差が出る部位です。
また、上腕部の筋力が弱いと、ベンチプレスやダンベルプレスなどの肘関節を伸ばす種目で、パフォーマンスが低下してしまいます。
前腕部の強さ
次に、前腕部の強さをチェックしましょう。
前腕部は握力に影響します。ウエイトトレーニングは、ダンベルやバーベルを握る力も必要なので、握力は非常に重要です。
※握力が足りない場合は、パワーグリップやストラップを使う必要があります。
ボディメイク、パフォーマンスアップなどを目的とされる方を対象に指導する場合は、パワーグリップやストラップが必須アイテムになります。
肘関節の過伸展
最後に、肘関節の過伸展がないかチェックしましょう。
女性の中には、関節が緩い方がいるので、肘関節の過伸展は女性に多いのです。
※「肘関節の過伸展」とは、肘関節が真っ直ぐよりも伸びてしまうことです。
こういった方は肘関節に負担がかかりやすいので、トレーニング時に注意が必要です。
具体的には、「肘を伸ばしたり、手を床やベンチについて行う」などのプッシュ系の種目は、肘を伸ばすシーンがあるので、伸ばし切らないように注意して指導する必要があります。
まとめ
腕の筋肉は、手先にいくほど細かい動きを求められるので、筋肉も細かく分かれています。
上腕部を鍛える方は多いですが、前腕部や手、指の部分はあまり鍛える方が多くないので、詳しく知らない方も多いと思います。
握る、支えるといった動きは、どのトレーニングにも必要な部分ですので、腕の筋肉の作用をしっかり理解し、パフォーマンスアップに繋げましょう。
今回のテーマの「腕の筋肉の名前と働き」や、その他の基礎的な知識に関して、ご質問や疑問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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