筋肉の知識を深堀りしている方
こんな疑問にお答えします。
今回は、筋肉の基礎知識として、以下を解説していきたいと思います。
- 脂肪と筋肉の関係
- 脂肪が少なくて筋肉が多い人は体重が重いのはなぜか?
- 脂肪を落とすには有酸素運動がベスト?
- 脂肪をつけずに筋肉をつけるにはどうしたら良いのか?
私は、渋谷のパーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」を2015年から運営しており、近年はパーソナルトレーナー養成スクール「Sharezスクール」の運営と講師も勤めています。
スクールでは、解剖学や生理学、バイオメカニクスなど、パーソナルトレーナーとして活動するための基礎知識の講義もあり、それらの講義の内容を整理して、今回のテーマについて解説していきたいと思います。
目次
脂肪と筋肉の関係
運動をしないと身体がぷよぷよしてきてしまい、「運動をしないと、筋肉が脂肪に変わってしまうのではないか?」であったり、反対に、「運動して、脂肪を筋肉に変えるぞ!」と、間違ったイメージをしている方もいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、脂肪と筋肉は細胞自体が異なるので、筋肉が脂肪になることもありませんし、脂肪が筋肉に変わることもありません。
上図のように、両者は物質、組織的に、全く別物です。
- 脂肪:脂肪細胞の集合体
- 筋肉:筋細胞、筋繊維の集合体
運動をしないとだんだん身体がたるんできてしまうのは、筋肉の量が減り、脂肪の量が増えたことが原因で、筋肉が脂肪に変わったということではありません。
脂肪が少なくて筋肉が多い人は体重が重いのはなぜか?
同じ身体のサイズでも、筋肉隆々の人と、体脂肪が多く太っている人では、実は筋肉隆々の人の方が体重が重いです。
なぜかというと、「筋肉の組織の方が、脂肪の組織よりも重い」からです。
上図のように、筋肉と脂肪の組織構成が異なります。
- 筋肉:水分量が80%、タンパク質成分が20%
- 脂肪:水分量が20%、脂肪酸とグリセリンで構成される中性脂肪組織が80%
筋肉の「タンパク質成分」は水分よりも比重が重く、脂肪の「中性脂肪組織」は水分よりも比重が軽いので、同じ大きさ、体積で比較すると、筋肉の方が脂肪よりも重くなります。
このため、「同じ身体のサイズ」で、筋肉隆々の人と、体脂肪が多く太っている人を比較すると、筋肉隆々の人の方が体重が重くなります。
視点を変えて、「同じ体重」で比較すると、筋肉隆々の人の方が、体脂肪が多く太っている人よりも、身体のサイズが小さくなります。いわゆる、引き締まって見える状態です。
サイズだけでなく、筋肉隆々の人の方が、筋肉の形がハッキリ見えるので、立体感のある身体をしています。
同じ身長、体重の方でも、「筋肉量の体脂肪量の割合の違いで見た目がだいぶ変わる」というわかりやすい比較写真がありましたので、ご紹介いたします。
同じ身長と体重でも体組成(筋肉量や脂肪量などの割合)が違うと体は別人。
ちょうど身内で比較しやすい人がいたのでさらします笑
(許可取ってます)体重ばかり気にしてはいけない!
大事なのは見た目と中身! pic.twitter.com/7GpqHnBZet— パーソナル&スポーツトレーナー稲倉承太 (@Shota_Inakura) October 3, 2014
脂肪を落とすには有酸素運動がベスト?
脂肪を落とすと言うと、「有酸素運動」が思い浮かぶと思いますが、実は、「有酸素運動に加えて、食事コントロールをプラスする」のがベストです。
加えて、筋肉量が少ない方や、あまり運動をしていない方は、有酸素運動よりも、まず「筋トレ」を行った方が良いです。(筋トレの件は後述します)
有酸素運動は「低強度、長時間の運動」なので、脂肪がエネルギー源として利用されやすく、脂肪燃焼に効果的です。しかし、有酸素運動だけで、消費カロリーを増やし脂肪を落としていくには、かなりの時間と体力が必要になってしまいます。
そのため、有酸素運動だけでなく、一緒に食事をコントロールし、身体に蓄積してしている脂肪を、よりエネルギーにしやすい状況を作るのが最も効率が良いのです。
例えば、体重60kgの男性が1時間ウォーキングをしても、250kcal程しか消費できません。有酸素運動だけで脂肪を燃焼させようと思った場合、これを毎日続けるには、時間、体力が多く必要となります。
一方、ご飯1杯は1時間のウォーキングで燃焼できるカロリーと同じ程度の200〜250kcalです。つまり、「1食ご飯を抜くだけで、1時間のウォーキング分のカロリーを減らすことができる」ということです。
毎日、ご飯1杯を減らす方が、毎日1時間ウォーキングをするよりも時間がかからず、体力も消耗しないので、効率が良いです。
有酸素運動を1日20〜30分程度行い、夜ご飯のご飯1杯を減らす食事コントロールを行えば、1日に300〜400kcalのカロリーを消費することができ、非常に効率良く脂肪を減らすことができます。
筋肉量が少ない方やあまり運動をしていない方は、有酸素運動より先に「筋トレ」を行った方が良い
「筋肉量が少ない方やあまり運動をしていない方」は、有酸素運動をした際の消費するカロリーが筋肉量が多い人よりも少ないので、有酸素運動を行った際の効率が悪いです。
また、有酸素運動を多く行なっていると、筋肉量が落ちてしまいやすいです。筋肉量が落ちてしまうと、基礎代謝の消費カロリー量も少なくなるため、一度ダイエットに成功したとしても、痩せた後にリバウンドしやすくなってしまいます。
そのため、筋肉量の少ない方やあまり運動をしていない方は、まず筋トレをして筋肉量を増やすことをオススメします。
脂肪をつけずに筋肉をつけるにはどうしたら良いのか?
「筋肉をつけたい、身体を大きくしたい」という方で、「筋肉と一緒に脂肪もついてしまう……」という課題を抱えている方もいらっしゃると思います。できるだけ脂肪をつけずに筋肉量を増やしていくことができれば理想的ですよね。
そこで、「できる限り脂肪をつけずに体重を増やせるにはどうしたら良いか?」、について解説していきたいと思います。
筋肉と一緒に脂肪がついてしまう原因
まず、脂肪がついてしまうのは、「食事の摂り方が間違っていること」が原因です。
糖質、タンパク質、脂質の摂りすぎや、摂取タイミングがうまくいっていない可能性があります。糖質、タンパク質、脂質の摂取量が多すぎると、体脂肪の増える割合が増えてしまいます。
食べた糖質のうち、消費できなかったもの、身体にストックできなかったものは、体脂肪として蓄積してしまいます。
また、タンパク質も、筋肉や身体の組織を作る上での材料にはなりますが、必要量を超えると、余計な分は体脂肪として蓄積してしまいます。
もちろん、脂質も摂取し過ぎれば、体脂肪の量が増えてしまいます。
では、具体的にどれくらいの量が目安になるか解説していきます。
脂肪をつけないための食事の方法
脂肪をつけないための食事の方法としては、朝、昼、夕で3食食べて、毎食、「炭水化物、野菜、肉類、魚介類」を含んだ食事を摂取した方が良いです。
体重60kg程の男性であれば、1回の食事で、以下の量が目安です。
- ご飯や麺類などを1人前(糖質80g〜120g程度)
- 肉類、魚介類は150g〜200g程度(タンパク質30〜50g程度)
- 脂質10〜20g程度
体重50kg程の女性であれば、1回の食事で、以下の量が目安です。
- ご飯や麺類などを0.5人前(糖質60g〜100g程度)
- 肉類、魚介類は100g〜150g程度(タンパク質25〜40g程度)
- 脂質10〜20g程度
野菜は1日トータルで、両手いっぱい程の量を摂取した方が良いです。そして、揚げ物や、脂肪の多い肉類は避けましょう。
不足しがちなタンパク質は、プロテインで補いましょう。
トレーニング後の栄養摂取
トレーニング後にはエネルギー、栄養素が不足しているので、しっかり糖質、タンパク質をとりましょう。
おにぎり1個程度の糖質と、コンビニなどで売っているプロテイン製品1〜2個、もしくは粉のプロテイン30g程度です。
ここでは食事ではなく、吸収の早いプロテイン製品が良いです。
まとめ
脂肪と筋肉は、細胞自体が異なるので、全くの別物です。
効率よく脂肪を落としたり、脂肪をつけずに筋肉をつけるには、適切な方法があります。ご自身の現状の体型と目標の体型をしっかりと見極めた上で、正しい取り組みを検討してみてください。
今回のテーマの「脂肪と筋肉」や、その他の基礎的な知識に関して、ご質問や疑問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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