お腹の筋肉の名前と働き【トレーナーが覚えておくべき情報も合わせて解説】

お腹の筋肉の名前と働き【トレーナーが覚えておくべき情報も合わせて解説】

各筋肉を調べている方

お腹の筋肉の名前や働きを知りたい! お腹の各筋肉がどの骨についているか(起始や停止)を画像でチェックしたい! お腹の筋肉で、パーソナルトレーナーが頭に入れておくべきなことってある?

こんな疑問にお答えします。

今回は、筋肉の基礎知識として、以下を解説していきたいと思います。

  • お腹の筋肉の役割
  • お腹の筋肉の名前と働き(画像つき)
  • お腹の筋肉で、パーソナルトレーナーが頭に入れておくべきなこと

私は、渋谷のパーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」を2015年から運営しており、近年はパーソナルトレーナー養成スクール「Sharezスクール」の運営と講師も勤めています。

スクールでは、解剖学や生理学、バイオメカニクスなど、パーソナルトレーナーとして活動するための基礎知識の講義もあり、それらの講義の内容を整理して、今回のテーマについて解説していきたいと思います。

お腹の筋肉の役割

お腹の筋肉の役割は、他の筋肉と少し異なります。

他の筋肉は、伸張や収縮を行い、関節を動かす機能が主な働きですが、お腹の筋肉の役割は、「体幹部を安定させる、臓器を保護する、呼吸をサポートする」といった働きが、主な役割です。

体の中心にあるのがお腹の筋肉は、体幹部を安定させ、腕や足を動かす動作の支点となります。体幹部が安定していないと、四肢の力強い動きが出せません。ランニング時に腹筋を触ってみると、固くなっていることがわかると思います。

また、お腹の筋肉は肋骨から骨盤の間にあり、何層にも重なることで、臓器を保護しています。

呼吸では、息を吸う時に「腹筋が肋骨を下に引っ張ることで肋骨を広げたり」、息を吐く時は「腹筋が肋骨を上に引き上げることで肋骨を縮めたり」、という動作をしています。

お腹の筋肉の名前と働き

お腹の筋肉は、腹筋が1つあるイメージをしている方もいるかもしれませんが、実は以下の3つの筋肉から構成されています。

  • 腹直筋
  • 腹斜筋
  • 腹横筋

お腹の筋肉で一般的に知られているのは、腹部の表面のシックスパックと呼ばれる「腹直筋」です。

その他のお腹の筋肉は、脇腹に位置する側面の筋肉「腹斜筋」と、インナーマッスルとして「腹横筋」があります。
※腹斜筋は、外腹斜筋と内腹斜筋に分けることができます。

それぞれについて、詳しく解説していきます。

腹直筋

腹直筋

お腹のメインの筋肉が腹直筋です。

腹直筋は、胸骨のすぐ下にある剣状突起と呼ばれる「骨第5,6,7の肋骨」を覆うようにあり、腹直筋の下部は、左右の恥骨のつなぎ目(恥骨結合)と連結しています。

腹直筋が収縮すると、「体がお辞儀するように前に曲がる動き(体幹の屈曲)」に関与します。また、腹直筋は恥骨までついているので、「骨盤の動きをコントロールする」作用もあります。

加えて、腹直筋は肺が広がるためのスペースを作り、「息を吸う際には、腹直筋は収縮し、肋骨を下に引っ張る」、「息を吐く際には、腹直筋は緩み、肋骨を上に戻す」など、呼吸をするサポートの役割もあります。
※肋骨の内側の、肺がある空間を「腹腔」と呼びます。

腹直筋は1つの塊ではなく、6つ、もしくは8つのブロックに分かれており、一つ一つのブロックは腱で繋がっているのが特徴です。筋肉同士が腱画でつながっているのは腹直筋だけに見られる特徴です。
※腱画で繋がれた筋肉を「多腹筋」と呼びます。

いわゆる、シックスパックやエイトパックというものです。6つに分かれるか、8つに分かれるかは、遺伝的に決まっています。

腹斜筋

腹斜筋

腹斜筋は、外腹斜筋と内腹斜筋に分かれます。

外腹斜筋

外腹斜筋は、肋骨の5~12番目から、骨盤に付着しており、外腹斜筋の左右両側が収縮すると、肋骨を骨盤に引き寄せる形になるので、「背中から腰を丸める動き」になります。一般的な体を起こす腹筋運動でも関与しています。

また、外腹斜筋の片側が動くと、反対側へ「体が捻れる」作用があります。右側の外腹斜筋が収縮すると右肩が前に出て、左側の外腹斜筋が収縮すると左肩が前に出ます。

内腹斜筋

内腹斜筋は、外腹斜筋の内側にあり、筋繊維の向きが逆を向いています。

骨盤から、肋骨10~12番目の外側に付着しており、内腹斜筋の左右両側が収縮すると、肋骨を骨盤に引き寄せる形になるので、「背中から腰を丸める動き」になります。

また、内腹斜筋の片側が動くと、外腹斜筋とは反対側に体が捻れます。右側の内腹斜筋が収縮すると左肩が前に出て、左側の内腹斜筋が収縮すると右肩が前に出ます。

腹横筋

腹横筋

腹横筋は腹直筋、腹斜筋の内側にある筋肉です。腹横筋は、よくコルセットに例えらる通り、胴体をグルっと巻くように付着しています。

腹横筋は、収縮することで、「お腹を背中側に引っ込めて、呼吸をした時に体を安定させる」作用があります。

また、腹横筋は呼吸のサポートも行います。収縮することで息を吐くのをサポートし、緩むことで息を吸うのをサポートしています。

体幹部に圧力のかかるトレーニング「スクワットやデッドリフト」などを高重量で行なったり、ラグビーやアメフトのようなコンタクトスポーツでは、腹横筋が分厚くなり胴体が太くなります。

お腹の筋肉で、パーソナルトレーナーが頭に入れておくべきなこと

お腹の筋肉で、トレーナーの方が頭に入れておきたいのは、以下の3つのチェックポイントです。

  • 腹圧のかかり具合
  • 前腕部の強さ
  • 肘関節の過伸展

それぞれについて、詳しく解説していきます。

腹圧のかかり具合

腹圧のかかり具合が高ければ、スクワットやデッドリフトなど、体幹部に負荷がかかる種目で耐えられるので、重量をどんどん上げていくことができます。

一方、腹圧のかかり具合が弱いと、体幹部に負荷がかかる種目で体のラインが保てず、腰が痛くなってしまったりします。

軽い負荷から徐々に重量を増やしていき、「フォームがしっかり保てるのはどこまでか?」というところをチェックしましょう。

腹部の脂肪の厚さ

お腹の筋肉の上に脂肪がある訳ですが、腹部の脂肪が多い場合は、腹筋運動などでも物理的に腹部が詰まってしまい、起き上がれなくなってしまいます。

こういった方は、バランスボールなどの円形を利用して、腹直筋、腹斜筋のストレッチを高めると良いです。そうすると、起き上がりは少なくても、可動域を出すことができます。

腹筋を鍛えるエクササイズを行う時は、「腹部の脂肪がどれくらいか?」によってエクササイズ種目や、使う道具を選ぶ必要があります。

お腹の筋力はどうか?

お腹の筋肉の筋力が少ないと、腹筋運動でも、「足の付け根の筋肉を使ってしまったり、腕を振って反動をつけてしまったり」といった誤った動作をしてしまいます。

そうすると、腹筋をうまく使えないですし、腰が痛くなってしまったりします。

腹筋の筋力がない方は、「小さい動きで良いので、腹筋から力を抜かないように動作を行なってもらうよう指導する」、もしくは「あえて反動を使った動きからスタートし、徐々に反動を減らしていく指導をする」など工夫が必要です。

また、腹筋運動でしっかり起き上がれる方に対しても、「本当に腹筋の筋力で起き上がれているのか?」、「反動を使っていないか?」、「足の付け根に力が入りすぎていないか?」などをチェックする必要があります。

まとめ

男性も、女性も、「腹筋を鍛えたい、お腹を引き締めたい」という方は多くいらっしゃると思います。

これまで何となく腹筋のトレーニングを行なっていた方や、効果が出ず、続けるモチベーションが保てなかった方は、腹筋の構造や特徴を理解した上で、効率よくトレーニングを行なってみてください。

今回のテーマの「お腹の筋肉の名前と働き」や、その他の基礎的な知識に関して、ご質問や疑問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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